本流・大池出合い
本流・大池出合い

 

今年は大池谷(2002

 

今年も行ってきました。去年とは対照的に小雪の今年は奥山までの林道で雪の上を歩いたのは2,3箇所のみで去年の苦しみが嘘のようでした。4/1(月)2:00 出発。天候は朝方まで雨で日中は晴れとの予報。上越を過ぎた辺りから雨で嫌な気分だったが富山に着くと雨も上がっていた。引越の時期でか高速道路も41号もやたら荷物を満載したワゴン車が多かった。それにしても夜中に移動しているのは皆さん多忙の為か。夜逃げもいたのかなあ~。コンビニで弁当を買い、庵谷トンネルを抜け神通川を渡り第一発電所入口着。前にはバリケード、明るくなるまで待つ事に。5:30 歩き始める。発電所に到着し川を覗くと物凄い水量、濁流だ。とても竿を出せる状態でないが目的は大池だから増水もなんのその。さあ~いつもの階段登ろうとした時、車の音がして振り返るとジムニーがやって来た。長棟のジムニーは怖いのだ。以前、安保師匠と釣りの帰りに林道を歩いていて親切なジムニーが乗せてくれたのだが(私の車は残雪があり通行不能)ジムニーは片側を残雪に乗せ車を45度に傾け走行したのだ。片側は数百mの渓だ。それを数箇所。生きた心地がしなかった。運転していた彼は全く気にもせず。降ろしてくれとも言えずに体を硬直させ目を閉じ祈った。車を降りたときの安堵感たるや。お礼に缶ビールを渡し見送った後二人の会話は「おっかなかった」のみ。と言う事で怖いジムニーから降りて来たのはおじさんだった。「登山かい?車でここまで来ればよかったのに、工事も昼間だけだよ」 「釣りです」 「そうけえ、こう水が出たら駄目だろう」 「奥山まで歩いてどこか支流に入ろうと思います。」 「ところで何ですか?山菜採り?」 「いやいあ、昨日ここで熊が二つ出たてんで撃ちにきたんだが、居ねな~」 「本当ですか?いやだなあ~、なんか登って行くのが怖くなってきた」 「だいじょぶだ。気いつけて行ってこいや」 ああ~なんということだ。聞かなきゃよかった。もちろん熊の事は常に気にしてはいるが、こうもストレートに聞かされると躊躇してしまいそう。しかしここまで来て帰るわけにはいかない。笛を吹きながら階段を登り始める。ついつい辺りが気になり振り返りながら足を速め息も切れぎれに20分で登りきった。更に林道を目指し山道を。7時過ぎに林道着。雪はまったく無し。空は真っ青で林の木々は新芽がちらほら出ていて何とも清々しい。所々雪による倒木で道が塞がれているが雪がなく歩き易い。8:00奥山発電所着。雪シロの最盛期。ダムの上をつたって対岸に渡り短いへつりをクリアーし大池谷出会へ。胴長に着替えて渓を眺め今年もこれた事に感謝し一服。3月に来て大雪によるテント潰れ、恒例5月の大宴会、9月の台風の爪跡と15,6年休む事なく訪れたこの渓には数知れぬ思い出がある。さあ行くかと立ち上がり大池の上流を目指し歩き始める。進むに連れ雪の量が増えていく。水量もかなりの量。30分程登っていつもの開始場所へ到着。9:00 いよいよ釣り開始。最初のポイントはいつもと同じ箇所だが流れが速く上手く沈んで行かぬが小さなアタリがある。食いが浅い。もう少し歩く事に。少しずつ流れの落着いてきたのを見て竿を出すと途端にググッとアタリ。0・8の新品のライン、躊躇なく抜き上げる。24、5の良型でサビも薄く太っているのが嬉しい。この後はほとんどのポイントで17、8から24、5のサイズが顔を出してくれた。運良く尺を2本手にする事が11時に昼飯。岩魚をシダの葉の上に並べて写真を1枚。木々の間から見える空はどこまでも青く澄みきって何とも心地良い空気が流れる。おっと奴の事を忘れちゃいかんと思い切り笛を吹く。12時過ぎから再度上流を目指す。よく釣れるが周りの雪も増え1m以上になり岩魚のサビも濃くなってきた。魚止めはまだまだ先の筈、帰りを考えるといけそうもない。一人で釣るにはぜ贅沢すぎる渓だ。時計を見ると2時少し前、だいぶ足も疲れたし終わりにしようと決め最後の足元の小さなポイントへ、こんな所でもググッと引いてく。尺弱だった。

竿をしまい下山の準備し魚止め方向に向かって一礼し下り始める。下流に近づき雪が少なくなると数歩毎に踏み抜き転んでしまう。この時間になると雪シロで水かさが増し、こん棒を頼りに渡渉し15時に本流到着。ほとんど走って来た様なものだった。お気に入りの大きな岩の上にへたり込む。目の前は朝よりも凄い濁流。よし、これが治まった頃に来て本流を釣るぞと意気込む。奥山発電所に戻り胴長を脱ぎ後半釣った岩魚を処理しザックに詰め込み歩きはじめる。少し行くと上からどどっと黒い物が降りて来た。な、な、なんだ、熊か、目の前を横切って行く。カモシカ、胸を撫で下ろす。これまで見た事の無い程真っ黒だった。寿命が縮まる思いだった。勘弁してよ、いつもの毛皮を着ていてよ。冷や汗混じり汗をかき林道に着き一服。午前中に滑って打ち付けた足が痛み出したが我慢して歩いていると前方にカモシカ、今度はいつもの装いなのでにっこり。挨拶しながら近づきカメラを向け1枚撮ってさよならする。林道を外れ急降下が始まると足がズキズキ痛む。丹念に笛を吹きながら階段を降り、あとは車まで30分。18:00 車に到着。やはり欲しいのはビール。あと3時間我慢。21:00 帰宅。風呂、ビール、酒、おやすみ。転倒2回、雪の踏み抜き転倒数知れず、プーさんとの出合い0回、カモシカ2回、終わってみれば満足感で満たされていますが、行く前は不安でした。単独はつらい。