雨後の増水と寒さの中で 2020/6/22
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もうすぐ66歳でちょうど半分の33年目になる長棟川へ行って来ました。当初は今月下旬に安保ちゃん、高橋さんの3人での予定だったのですが各々都合がつかず県境をまたぐ移動自粛解禁直後の6/20~6/21に安保ちゃんと二人での決行となりました。入念に天気予報を確認し雨後の適度な増水の中、爆釣間違いなしとの想定だったのですが見事覆され濁流と寒さとの戦いの釣行となってしまいました。近年稀に見るキツ~いものでしたが満足感に満たされました。高巻きルートが分からずスクラム組んでの渡渉、河原にテントを張り眠れぬ夜、思わぬ渇水に喘ぐイワナを運んだり、大雪に見舞われテントが潰れた事も、前方の斜面を熊が降りてきて身動きできなくなってしまう等これまでも数々の苦難に遭遇したのですが今回は自身の体力の限界を切に感じた釣行でした。桧峠のゲートから雨の中、起伏の多い林道を自転車で1時間程かけていつもの渓への降下場所に辿り着き急斜面を草木にぶら下がりながら100m以上を降下し降り立った私達の目の前は適度な増水どころでかしぶきをあげる濁流でした。渡渉は完全不可。雨は続いており水が治まるのはいつになるかまったく分からずぼう然と立ち尽くし。もはやエスケープルートの大池谷へ行くしかありませんでした。つらいつらい引き返しの登りに着手し奥山発電所を目指しました。これが今回の始まりとなってしまいました。
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県外移動が解禁となった20日は土曜日で先行者が心配になりいつもよりも2時間早い午前1時に我が家を出発しました。富山県の雨も夜半には上がるとの予報を信じて。富山ICを出ると雨は上がっていて路面乾燥で一安心。ところが桧峠へ向かう途中から雨。やはり山の天気は平野部と違っていました。ゲートに到着したのが4時。さすがに先行者は居なかったものの真っ暗で雨。1時間近く車内待機をし小雨になったのを見計らって自転車でスタート。この頃はまだ不安よりも期待大だったのです。ところが降り立ったらあの濁流状態。本流への急斜面の往復ですっかり体力を奪われながらも林道に戻った後は自転車にまたがり奥山発電所のゲートに戻り舗装道路をすたすた歩き発電所へ。発電所を囲う鉄の柵を伝って中には入り非常用?階段で河原へ。凄い水量で下流を覗きゾッとしました。しかしここからは左岸をヘツって行けば増水時でも大池へ入渓可能です。山肌に取り付くと細いロープが貼られて居ました。これは助かります。確か7年振りですのでその間にどなたかが貼られたようです。本流と大池の合流地点で荷物を降ろし一休み。ついでに竿を出して見ると安保ちゃんがゲット。私の竿には残念ながら。大池も相当の水量ですがなんとかなりそうと藪こぎ開始。うっそうと生え茂るコゴミ(シダ)や竹林の中をまったく見えぬ足元に気をつけながら1時間歩き目的地へ到着。とにかく夕食用のイワナを求めて本格的に開始しましたがやはり増水に悩ませられました。ここは足場が悪く転倒も度々。そして寒さとの戦い。それでも上流に進むに連れポイントもはっきりしてイワナが顔を出すようになりました。私は餌でしたが安保ちゃんはルアー。この小さなポイントでほとんど流すことが不可能にもかかわらず次々と釣り上げて行きます。流石です。いつもは昼にビールと刺身なのですが震える寒さに立ち止まる事さえ億劫になり昼食も取らずに歩き続けました。さすがは大池。どのポイントでもイワナが食いつき型も揃い1時に納竿。この先には間違いなく大物がいるのですが。過去に何回となく魚止め迄釣り上がりました。大池は帰りが大変なのです。転倒覚悟で下らなくてはならないのです。それが嫌でいつも残雪の時期に入渓したのでした。寒さの為つり気味の足でひたすら下る無口の二人。3・4回は転びました。テン場に着き着替えの際みたら両足はアザだらけ。1時間半で本流との合流点へ。水量はやや減り濁りはとれたものの徒渉は困難そうでした。そこから1時間で奥山ゲート。更に自転車で1時間で桧峠ゲート。登りが多く自転車を降りての距離が長った様な気がします。脚はとっくに限界に来ていました。いつものテン場に着いたのが5時。朝5時から12時間ほぼ歩きっぱなしの一日。自転車もキツかった。着替える前にたき木集め。雨は上がったものの湿っているのと数年同じ場所でのキャンプで枯れ木もほとんどありませんでした。昨年の燃え残りやらで何とか確保。湿った地面にテントとブルーシートを敷き私は火を起こし安保ちゃんはイワナの処理を済ませようやく着替え。何とも心地良い乾いたシャツとパンツ。いよいよビールで乾杯。あれほど寒かったのにやたらと美味しく立て続けに3本。そしてここからはすっかり安保料理長のお世話になりました。ランプに寄ってきた羽化したばかりのカゲロウの幼虫を眺めながら「鶴齢」でほろ酔い加減に。9時過ぎに私はテント、安保ちゃんは車内で眠りに着きました。
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安保料理長による感激メニュー
イワナの刺身
イワナとミズのニンニク炒め
イワナの塩焼き
イワナ、マイタケ、ミスと里芋の味噌汁
モツ炒め
キュウリの生ハム巻き
自家製(ウソ)の燻製サラミ
飯盒ごはん
ビール
酒(鶴齢・麒麟山)
翌朝は4時に目覚め塩焼きのイワナが心配になり確認すると案の定、生焼け状態。それでも盗られてはいませんでした。昨年は数本何か(タヌキ?)に持って行かれました。何とかしなくてはと安保ちゃんにも声かけ火起こしを。どうにか焼き上げる事が出来のんびりコーヒーを2杯。空を見上げると快晴。これが昨日だったら。いや雨だったからよりインパクトの強い釣行だったはず。そして豪華な朝食に大満足。綺麗に後片付けを終えテン場に感謝し7時に出発。
濁流と寒さの中の忘れられぬ釣行となりました。いつもは温泉、スーパー、ラーメンの店への立ち寄りなのですが今回は所用の為早めに帰宅。いつもながらその体力と釣りの腕前を披露してくれる安保ちゃん。昨年もこれが最後と思いながらも実現できたのは、ただただ安保ちゃんのお陰です。ありがとう。でもこれが本当に最後です。9月の片貝は行きますよ。ラーメンの店もある事だし。