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今年に入ってJeff Beck(78)さん、David Crossby(81)さん,Burt Bacharach(85)さん、鮎川誠(74)さんが亡くなられました。そして今月3日にはDavid Lindley(78)さんが。寂しいですね。私が過去に一度だけ彼の演奏する姿を見たのは1977年に初来日したJackson Browneのコンサートでした。膝の上にラップ・スティールを置きスライド・バーを持つ手を振りかざしながら豪快に弾く姿と鋭い旋律に身震いしました。また笑顔で就学前の娘さんをステージに呼び紹介する場面も。
ギター、ラップ・スティール、フィドル、バンジョー、マンドリン、ブズーキ、サズ、ワイゼンボーン等のマルチプレイヤーの彼が同年代で2020年に亡くなった同じくマルチプレイヤーのChris Darrowと音楽活動を開始したのは60年代後期に結成したKaleidoscopeでした。当時の世相を如実に反映したサイケデリックでアシッド感を匂わせるフォーク&カントリーロック・アルバムです。一枚だけ持っていたLPは手放し後年、編集CDを手にし久し振りに聴くと意外やさわやかなコーラスが心地良かったです。70年代に入るとセッション・マンとしてJackson Browneをサポート。数々の名曲に貢献しています。楽器だけでなく名曲「Stay」では甲高いヴォーカル(ファルセット?)で盛り上げています。そして1981年に念願のソロデビュー。本人の希望で日本盤のタイトルは「化け物」。こんな格好良い化け物は大歓迎でした。ルーツを辿った選曲にオリジナルを加えロックンロール、ブルース、レゲエ、テックスメックスと化け物ぶりを発揮。テン・ホイッスルが印象深いレゲエスタイルのオリジナル「Pay The man」は何度聴いたやら。自身のバンドEL Rayo-Xと共に5枚のアルバムをリリース後はスタジオ・ワークと並行しパーカッショニストであるHani Naser、Wally Ingramと活動していましたが私はほとんど聴いていません。2010年にリリースされたJackson Browneとデュオ名義の「Love Is Strange」で久し振りにDavid Lindleyに再会しました。2006年に行ったスペイン各地でのライヴを収めたものでした。二人で日本へ来てくれたら必ず行くつもりでした。数年後、何回か
Jackson Browneは来日し私も会場に駆け付けたのですがツアー・メンバーに彼の名前はありませんでした。 (2023/3/9)
DylanやJames Taylorを始め数々のアーティストのセッションに参加している中で特に印象に残った数枚をアップしました。素晴らしい「化け物」でした。ご冥福を。
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「The Dark End Of The Street」。ままならぬ恋の心情を唄ったDan Penn & Chip Momanの作品です。1967年サザン・ソウルシンガーJames Carrによってヒットしましたが私が知ったのはRy Cooderがインストナンバーとして取り上げたものが初めてで数年後の事でした。そのメロディーとRyのスライドに感激、そして当時ヴィヴィッドから発売されたJames Carrを手にしました。これがオリジナル曲との出会いであり、またサザン・ソウルとの出会いでもあります。その後、沢山のアーティストが唱法やサウンドを多少異にし取り上げていますがこの名曲がかすむ事はありません。私が知る限りでもかなりの広範囲です。南部のソウル・シンガー、米国音楽の王道を行くRyやGregg Allman、昔から米国志向のあった英国で一番好きなギタリスト Richard Thompsonはもとより驚いたのはイングランドのトラッド・シンガー June Tabor。Oyster BandとのコラボでJohn Jonesのアコーディオンが印象的です。そしてスコットランドのBarbara Dicksonの力強いシンギング。この曲の作者Dan Pennの心温まる唄声を耳にしたのは1994年でした。
先日、ユーチューブで何からの繋がりか忘れましたが大好きな亡きTom Pettyが「Dark End Of The Street」を唄っているの初めて見ました。何とも恰好良いのです。Clarence Carterのバージョンを思わせるトーキングスタイルはまるで一人芝居のようです。最後の数小節のみギターを抱え唄っていました。私は手にしていませんが2002年にリリースされた「Winterland 1978 CD+DVD」からの映像のようです。久し振りにグッときてこの名曲を振り返ってみました。
2017年に亡くなったTom Petty(66歳)。大好きでずっと聴いてきたと思ってたのですが私が手にしたのはわずか4枚でした。他にはDylanとのライヴ、Traveling Wilburysがありました。1981年、決して派手さはないもののこれが米国の典型的なサウンドなのだと臆せずに表現した「Hard Promises」、南部志向でアーシーなサウンドの「Southern Accents」、内省的でシンプルなソロ作品「Wildflowers」、Heatbreakersや自身を培った音楽の集大成とも思える内容の「San Francisco Serenades」と聴きごたえ十分です。 (2023/2/16)
物心がついた頃から音楽、いや唄が好きでした。ある時期からは自身が好みのジャンルをある程度定めその範疇のものに集中しました。あれもこれもと購入できるわけではありません。LP一枚を手にするのは大変な時代でした。アナログレコードがCDにとって代わり入手不可能と思われた私にとっての名盤も沢山リリース(重箱の隅をつつくが如く)され2000年頃には聴ききれぬ程に入手しました。しかし止められませんでした。前述のとおり自身の嗜好の範疇外と控えたり金銭的にも不可能で諦めざるを得なかったもジャンルの唄です。ソウル・ミュージック、レゲエ、ジャズ、比較的に身近だったブルース等。今度はそれらの唄に夢中になりました。そしてまた戻るのですあの頃に。
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70年代の初め有名アーティストがこぞって出かけたのは米国南部のレコーディング・スタジオでした。マッスル・ショールズ、フェイム、スタックス・ヴォルト、アトランティック、ロイヤル、アメリカン・スタジオ等でそこにはハウスバンドとも言える専属のミュージシャンとソングライターがフランチャイズとし数々のソウルの名曲を生み出していました。泥臭くエネルギッシュなサウンドを求めて向かったのです。米国人に加えて英国のRolling Stones、Rod Stewartも傑作をものにしています。私が所持している中で珍しいのはテンプターズの「イン・メンフィス」と加川良の「南行きハイウェイ」です。
そんな南部のスタジオでソングライターとして成功したGeorge Jacksonの存在を知ったのは2000年以降です。60年代から元々はシンガー・ソングライターとして売り込みシングルをかなりの枚数発表したようですがヒットに至らずソングライターとして活躍しました。後に分かったのですが70年頃に日本でもヒットしたOsmondsの「One Bad Apple」は彼の作品でした。他にも数々のヒット曲を書いているのですが私は聴いていません。彼は提供曲以外も含めてほぼすべての楽曲を自身で唄い残していました。有名シンガーやスタッフに聞かせ売り込む為だったかも知れません。それらの作品を集めたアルバムが発表されたのは近年でした。2013年に68歳でこの世を去ったGeorgeも一部は手にした事でしょう。往年のソウル・シンガーのように熱くシャウトするわけではありませんがアップテンポ・ナンバーでの乗りの良いしなやかな節回し、ミディアム&スローナンバーの奥深い味わい。曲作りはサザン・ソウルにポップスやロッカバラードを加味したとても耳障りの良い作品で占められています。腕利きミュージシャンのシンプルながらもツボを得たバッキングで唄う姿はまるで私の好きなフォーク系のシンガー・ソングライターの作品のように感じました。私の持つ5枚にはそれぞれ20曲以上が収められていて、確かフェイム・スタジオの続編があと2枚リリースされています。
これを皮切りにディープなサザン・ソウル、ファンク、モータウン、フィリー・ソウルと引き込まれてしまいました。 (2023/2/16)
今年のうた 2022 22/12/16
Neil Youngの充実した活動に刺激を受けたのか例年よりも積極的に好きな唄に浸ることができた一年だったようです。改めて伝説?のロック喫茶「ブラックホーク」の存在とそこからの影響を確認した一年でもありました。2000年この地に居を構えて10数年間はジャズ、ソウル、ブルース、レゲエに加え同時代を賑わせるポピュラー音楽を意識して聴き入りました。しかし最近はすっかり60・70年代の自分に戻ってしまったようです。まだ少しはSSWの名盤に緊張感を覚え轟音ギターに体を揺らしジグやリールのリズムに足踏みする自分がここにいます。
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Nitty Grity Dirt Band(NGDB)
の新作はDylanのカバーアルバムでした。70年代初めに「ミスターボージャングル」「プー横町の家」「ジャンバラヤ」「コズミックカウボーイ」等の名曲はNGDBから教わったのです。初来日コンサート(1972年?)も出かけました。John Mcuenが銀座の路上でバンジョーを手に投げ銭ライヴの様子が話題になりました。。1966年の結成当初からのメンバーJeff Hannaを中心に活動を現在まで継続しているたのですが私は遠ざかっていました。Dylanのカバー関連から目に留まり早速購入。Jeffと息子Jaimeの親子がバンドのかなめのようです。取り上げた10曲は60~70年代。うち3曲は「Nashville Skyline」というのも納得。オーソドックスなカントリーロック・スタイルに加え親子での生ギターの弾き語りは名曲のメロディーラインを浮き出させてくます。小春日和の緩やかな陽射しの中で聴き、まったりとしたひと時を過ごさせてくれた一枚でした。
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70年代も終わりの頃になるとAORやシティ・ミュージックといった私にとってやや物足りない唄と刺激的過ぎるとも思えたパンクロックが一世を風靡しました。私はそこそこ順調にリリースされるトラッドに加え少しのサザン・ソウルとレゲエ、そしてパブ・ロックやパワー・ポップと呼ばれる唄を楽しんでいました。そんな折に大好きな英国のパブ・ロッカーNick loweがプロデュースしPretendersがKinksをカバーした「Stop Your sobin」を聴きました。軽快なメロディーが心地良くそれなりにヒットしました。このグループの中心人物がChrissie Hynde(71歳)。当時、Kinks の御大Ray davisとの間に子供をもうけた等という話題も。それはともかくとしてウキペディアで検索すると何とも音楽以外のところでも何かとこだわりの強い女性シンガーでした。 そんな彼女のアルバムを始めて手にしました。Dylanのカバー・アルバムです。傑作です。バンド・メンバーのJames Walbourneと二人で作り上げてアコースティック・アルバムです。このゆったり感は現在の生活の充実感からでしょうか。「Tomorrow A Long Time」はかってSandy DennyやRod Stewartも取り上げていました。当然に意識した事でしょう。
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Rolling Stonesのカバー・アルバムを購入した際に気になってたLucindaのDylanカバー。Stonesのとき同様に彼女の個性が際立った一枚です。もちろんバンドサウンドで取り上げたDylanナンバーは60、70、80、90年代を代表するアルバムから10曲と前述のChrissieも取り上げたブートレッグ・シリーズ1~3からの「Blind Willie Mctell」。聴き比べるのも興味深かったです。Chrissieの唄い方がやたらとラフでルーズなのです。一方LucindaのバンドサウンドがシンプルでPretendersのような。 私の先入観からそんなふうに聞こえるのかも知れません。二人とも格好いい私の憧れの女性です。
音楽雑誌「ヒット・ポップス」や「ミュージック・ライフ」を購読していた60年代後半は西洋ポップスに夢中なったもののレコードもほんの僅かしか買えずラジオが最も大切な情報源でした。ダンヒル・レコードを始め出会った沢山のヒット曲を不思議と忘れません。「秘密諜報員(Secret agent Man)」という刺激的な1曲。私はVenturesで覚えました。後にRCサクセションが一時販売禁止になった傑作「カバーズ」の中で忌野清志郎が坂本冬美さんと唄っていました。この曲の本家本元はJonny Riversです。ダンヒル・レコードのトップシンガーとして活躍しました。そんな彼が時流を意識し70年代に制作したのは典型的な西海岸SSW然りのアルバムでした。雨後の筍の如く現れるSSWを追いかけていた私はこのベテラン・シンガーのアルバムの存在すら知りませんでした。今年ある音楽雑誌をめくっていて2009年作の「Shadow On The Moon」の紹介文を目にし気になったものの現在は入手不可能。残念。それでもJonny Rivarsが聴きたくなり購入しました。選曲もバッキングも申し分ありません。スローナンバーでの唄いぶりはGene Clarkを思わせます。60年代のポップスターが辿り着いたのは内省的なSSWの世界でした。リアルタイムで聴いたわけではないためか何か物足りなさが残ったのも事実です。
今年も若い時からあこがれた方達が去られました。SSWの小坂忠(73歳)さん、ギタリストの中川イサト(75歳)さん、関西トラッド界の草分けSi-Folkの吉田文夫さん、イラストレーターの矢吹申彦(78歳)さん、英国トラッド界の重鎮Norma Waterson(82歳)さん、Dr.FeelgoodのギタリストWilko Johnson(75歳)さん。Fleetwood macのChristine Mcviie(79歳)さん、RonettesのRonnie Spector(78歳)さん、そしてスタックス・レコードの創設者Jm Stewart(92歳)さん。ご冥福をお祈りします。
ブラック・ミュージックを無視し通常の優れたポップスを上から目線で見下していたことがブラック・ホークの致命的な欠点と批判された音楽著述業の方が居られましたが私はそうは思いません。ブラック・ミュージックもポップスも大好きです。でもブラック・ホークにはそこでしか聴けない沢山の唄がありました。今でもその存在に感謝しています。
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Neil Youngの新譜を手にしました。前作に続きCrazy Horseと制作。湾岸戦争、イラク戦争時にはWeld(1991)、Living With War(2006)で戦争に対する自身の気持ちを率直に唄っていました。当然にこの信じられぬ程のウクライナ侵攻の蛮行と悲惨な現実にNeilはどう表現するのでしょうかと新作の発表を心待ちにしていました。早くに発表を予告しアルバムジャケットも公開し収録曲「Love Earth」を先行公開し期待を膨らませてくれました。驚いたのはアルバム・タイトルとジャケ写真の人物。手にして分かった人物は父親でした。それ以外にも母、兄、妹の写真も掲載しています。そしてタイトルですが誤解を恐れずにいうと戦争、環境等、危機的状況にある現在の世界。それらを記録したレコードなのだ解釈しました。ウクライナ侵攻を名指しで批判はしていませんが、世界は困った事になっている、戦争はいらない、愛があるだけ。地球を愛そう、母なる大地を取り戻そうと唄っています。家族や故郷への思いも見え隠れしています。変わらぬNeilの魅力的な曲つくり。今回は自身のピアノ演奏が多く聴かれます。前々作からCrazy Horseに参加した旧知の仲のNils Lofgrenが今回もアコーディオン、ペダル&ラップ・スティールで全体のサウンドを豊かにしつつNeiLとのギターバトルも繰り広げています。お爺さん達によるバックコーラスも魅力的です。何かと話題になっている共同プロデューサーのRick RubinですがあくまでNeil の意向を上手く引き出していて前面に出る事はなかったようです。そしてこのアルバムの制作に関わったすべての人達の生年月日が記されています。これもひとつのレコードですね。私が嬉しかったのが最高齢のHenry Diltz(84歳)。Modem Folk Quartetのメンバーで現役の素晴らしいカメラマンでもあります。Neil Young(77歳)に始まり終えた1年となりました。 (2022/12/7)
Neil Young(N・Y)の「Time Fades Away」が初めて単独でCD化されました。
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1973年にリリースされた際にはあまり評価されなかった気がします。新曲は当然としても、すべてがライヴで録音状態もあまり良くなかったからかも知れません。しかし現在の評価は違います。このアルバムの持つインパクトの大きさとN・Y自身が評価しなかった事で逆に記憶に残るアルバムとなりました。私は知人が購入したのを借りて聴きました。大好きな一枚です。
「Harvest」の成功後の90日間で65公演というハードなツァーの中から新曲のみをセレクトしたアルバムでN・Yは後にこのツアーは最悪だったと語っています。腕利きミュージシャンで形成されたStray Gatorsもツアーでは何かとトラブルがあったようでドラマーは途中で変わっています。N・Yにとって苦い思い出のツアーの記録を否定し1995年にCD化の決定を許可しませんでした。アナログも入手困難で幻の名盤化していました。時は過ぎアーカイブス・シリーズの中でCD化を容認。さらに同ツアーから「Tuscaloosa」もリリース。こちらは「Harvest」からの楽曲を中心に極めて通常のライブ・アルバムです。またドラマーは当初のKenny Buttreyです。聴き比べて思ったのは、よくぞ「Time Fades Away」を制作してくれたと感激。「Heat Of Gold」でスターダムへの道のりを歩み始めたN・Yにとって不満足のツアーをレコード化したのは売れなくても良かったのでは。でもこのアルバムはゴールド・ディスクを獲得しています。 (2022/9/28)
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7月上旬に発売されたNeil Youngの新譜「Toast」。アマゾンではすぐに売り切れとなり先日ようやく入手しました。新譜と言っても最新録音ではなく2000年に録音されお蔵入りとなっていたものです。未発表の理由は定かではありませんが、その仕上がりが原因ではなく書いた曲の歌詞があまりに当時の人間関係を直視したものでリリースする気にならなかったようです。したがって完成度は高く録り直した数曲を含んだ翌2001年リリースの「Are You Passionate ?」よりも私は気に入っています。
決して妥協せず孤高の人を貫くNeil Youngも一人では自身の望む音楽を作り上げる事はできません。数々のバンドやミュージシャンに支えられてきました。中でも1968に出会ったCrazy Horseとの付き合いは50年以上になります。紆余曲折を経ての共演は何処か節目ごとのような気がします。「Toast」を含め17枚のWith Crazy Horseアルバム。すべてが晩酌の最良の友です。そしてNeil Youngを長年に渡って支えたペダルスチールを中心にマルチプレイヤーで2010年にこの世を去ったBen Keith(73歳)の存在も忘れられません。
30年ほど前に一度CDリリースが決まりながらもNeil Young自身が何らかの理由で販売を中止した1973作の傑作「Time Fades Away」が来月リリース予定です。Boxではすでに出ていますが単独では初めてです。私はアナログを聴いていました。今度はキャンセルしないでくださいね。Neil Youngさん。 (2022/8/22)
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先日届いたLucinda Williams(L・W)の新作はRolling Stonesのカバーアルバムでした。69歳のL・Wを初めて聴いたのは90年代でした。パンク、ニューウェーブ、テクノ、AOR、ディスコ・サウンドが一世を風靡した70年代後半から80年代はルーツ系を好む私にとって不毛の時代で60、70年代からのSSWの新作が頼みの綱でした。しかし90年代に入るとグランジ、ペイズリー・アンダーグラウンド、オルタナティブ・ロック&カントリー等のバンドに加えルーツ・ミュージック系のSSW達が現れました。L・Wもその中の一人です。「Sweet Old World」「Car Wheels On A Gravel Road」等の傑作に夢中になりました。ラフでルーズで骨太なヴォーカル。類まれなるメロディー・メーカー。それらを物語るに相応しい風貌。大好きです。そんな彼女がStonesをどう取り上げているのか。ジャケットは現在出されているオリジナルではなくレコード会社からのクレームで差し替えられた「Beggars Banquet」の白ジャケ(懐かしい)を模しています。私も同年代。取り上げた16曲はすべて知っています。まるでStonesでは無くしっかりとL・Wがいます。「Paint It Black」も「Dead Flowers」にも。このアルバムを購入するにあたって気づいたのですが、これはL・Wのジュークボックス・シリーズの6作目で過去にはサザン・ソウルやDylanのカバーもありました。購入しなくては。 (2022/7/22)
「Tell Me」「Paint It Black」「Heat Of Stone」懐かしいRolling Stonesの3曲。高校生の時にバンドで取り上げたのでした。まともなアンプもエフェクターもなくどんな音でStonesの真似事をやっていたのでしょう。忘れられぬ楽しかった思い出です。中学生の頃から洋楽に夢中になったのですが私はBeatlesよりもStonesが好きでした。品行方正とは程遠くアウトロー的な面に惹かれたのと、ある意味日本の初期のロックバンドでもあるグループサウンズがこぞってStonesの曲を取り上げてたからかも知れません。あれから50数年経った現在Stonesに手を伸ばすのは圧倒的に60年代のシングル曲です。LPは高価で国内編集の1枚のみしか持っていませんでした。ですのでリアルタイムではなく後追いで揃えました。1973年の中止から17年後の1990年の初来日時にとても運の良い出来事がありました。当時、私は松本市に住んでいてチケットは入手困難となかばあきらめていました。ところが松本市内の「井上デパート?」でも売り出されると知り当然のごとく仕事は休み並びました。さほど長蛇の列ではなかったような気がします。そして見事ゲットしたのです。しかも4枚。依頼していた東京、名古屋の知人友人は誰も買えなかったのです。自慢げにチケットを渡し4人で東京ドームの中段席へ。1曲目は予想通り「Start Me Up」。「Paint It Black」で涙、「Gimmie Shelter」で陶酔のひとときでした。 (2022/7/22)
これまでに出会った沢山の唄い手や演奏者で誰が一番好きですかと問われても答える事は出来そうもありません。それでは誰のアルバムを一番多く所有しているか問われたら、それはNeil Youngで次はBob Dylanです。ただし近年頻繁に発売されるアーカイブス・シリーズやコンピレーションアルバム等を含めたらDylanのほうが多いかも知れません。Neil Youngは通常盤?を50枚以上リリースしています。DylanやEric Claptonは重ねた年齢を感じさせますがNeilはまったく変わらぬ声で唄に向かい合っています。本当にすごい76歳です。そして現在起きているこの悲惨な侵略戦争を唄ってくれるはずです。 (2022/5/26)
傑作「Burn」を手にしてからNeil Young(N・Y)を聴き続けています。私が初めてN・Yのレコードを購入したのは1972年。国内盤「Harvest」でした。もう50年が経ちました。これまで4回来日していて私がみたのは1989のNHKホールと2003年の武道館の2回です。忘れられないコンサートです。N・Yは沢山の傑作スタジオ・アルバムと共にライヴ・アルバムを発表しています。この頃よく手を伸ばすのは三つのライブ・アルバム。共通項はCrazy Horseとの共演、90年代、エレクトリック・セット、2枚組、炸裂するノイジーなギターの轟音。お酒がすすみます。 (2022/1/28)
ハーモニカと生ギターで始まり柔和な音色のアコーディオンが心地良い「Song Of The Seasons」に続いて炸裂気味のエレキギターの轟音が印象的な「Heading West」そして私はアメリカン、カナダで生まれバンドをやるために南下したカネリカンでもあると唄う「Canerican」。年末に入手したNeil Young(76歳)の新作「Barn」はすんなりと私の体に染み渡る作品です。60年代から50枚以上のオリジナル・アルバムを制作。その大半が手元にあります。昨年コロナ禍の中ロッキー山脈の古い納屋で50年以上の付き合いのCrazy Horseと録音した「Barn」。何も目新しいものはありません。ただNeil Youngがいつも通り唄っているだけです。私をとても幸せな気分にしてくれるアルバムです。(2022/1/9)
今年のうた 2021
今年も沢山の唄に出会いました。英トラッド音楽の重鎮Frankie ArmstrongやSSW・Jackson Browneの新作、遅ればせながら出会ったMandolin Orange。そしてFairport Conventionの1971年のライヴ。20枚近く購入したのは数年振りかもしれません。やはり動揺の1年で唄にすがっていたのかも知れません。
以前取り上げた以外にも沢山の唄に出会いました。勘違いで購入したGypsyは米国のミネアポリス出身でCSN&Y風のコーラスとややサイケデリックなインプロビゼーションを併せ持つバンドと記憶していました。秋に2in1で発売されたのを知り届いたのはなんと同名の英国バンドでした。失敗と思いながら聴くとこれがなかなかのもの。71&72作で当時の音楽状況を反映したコーラスと乾いたギターサウンドに十分満足できました。でも米国のGypsyも乞う再発。Dylanのカバーアルバムもよく聴きました。ジャケが印象的なアメリカーナSSW・Courtney Marie Anderson、中心人物であるMark Olsonが抜けた後のJayhawks、オーソドックスな弾き語りのDavid Dondero、ひたすらにアメリカーナの王道を行くJohn Mellencamp。もう少し聴き続けたく思います。
今年も大好きな音楽家が亡くなりました。御大Phil Spector(81)、R・StonesのドラマーCharlie Watts(80)、チューバ奏者のHoward Johnson(79)、SSWのNanci Griffith(68)、そしてLone JusticeのドラマーDon Heffinton(70)。久し振りに聴いた「ウォール・オブ・サウンド」に圧倒されました。
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Jim Keltner、Russ kunkel、Jim Gordon、Roger howkins、 Kenny Buttley。私が夢中になった唄を支えたドラマー達です。各人のドラミングについて語れるほどに耳達者ではないのですが参加ミュージシャンの中に彼等の名前があると安心しました。そして90年代以降で最も気になったドラマーが今年亡くなったDon Heffintonです。オルタナティブ・ロックが注目された頃ギタリストのGreg Leisz同様、私の好きなルーツ・ロック系アルバムに数多く参加していました。またDylan、J・Browne、J・Muldaur等その活動は広範囲にわたっています。彼のドラミングは沢山の人に信頼されていたのですね。 (2021.12.12)
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昨秋から延期されていたJackson Browneの新譜を入手しました。聴き終わって感じたのは、ほっとしたの一言です。1972年のデビューから50年近くが経ちました。そして現在のJackson Browneがここにいます。唄っています。それだけで私は満たされました。50年間唄い続ける。音楽を職業としてるからといって誰もがなせる所業ではありません。商業的な成功を収め不動の地位を得て自由に自己表現できる環境を持ち、そしてなによりも私のように彼の唄を待つ人間が世界中に居るからこそ成せたでのしょう。私が安堵感を覚えた彼の唄を包む演奏も時流に敏感な人にとっては退屈かも知れません。でも表現された唄の内容は極めて辛辣なのもです。彼の近況や表現の内容は懇切丁寧な解説と対訳をお勧めします。
50年間に出会った沢山の唄い手や演奏家。近年は訃報の知らせを目にする事が多くなりました。商業的成功からはほど遠くとも唄い演奏し続ける人達は沢山いて今でも時々素敵な唄と音色を届けてくれます。また時を超えて引き継いだ若者の唄の新鮮な響き。聴くだけの私ができるのは一枚のレコードやCDを購入するくらいですが聴き続ける事で何かの力になれればと。 (2021.8.8)
Israel Nash Gripkaに続いて今年に入ってのお気に入りはAndrew Marlin (マンドリン、ギター、ボーカル)とEmily Frantz(フィドル、ギター、ボーカル)のデュオMandolin Orangeです。10数年前にデビューしていてそのデュオ名やジャケットの良さから気になりサンプル音源は視聴してた気がします。でも購入はしていませんでした。何故???。今回手にし感激!。素晴らしいの一言です。ブルーグラスをルーツにして出来上がった5作目はSSW作品と言えそうです。シンプルなアメリカーナ・メロディを引き立てる弦楽器達。早弾きも派手なリフも全く必要ありません。まるで極上なスパイスです。二人のボーカルは抑制されていて感情の昂ぶりはありません。これが普段の私達なのよとでも。本盤とは別に彼らのルーツ、ブルーグラスゆかりの有名伝承曲を唄ったミニアルバムも素晴らしいの一言です。 (2021.4.1)
このアルバムについてのコメント内容とジャケットからして70年代初頭の音楽が容易に想像され購入した今年40歳のIsrael Nash Gripkaが2011年に発表した「Barn Doors・・・」を10年遅れでじっくり聴きました。。そのメロディ、唄いぶり、使用楽器、郊外の納屋での録音からして21世紀の「ビッグピンク」や「メイン・ストリートのならず者」との声も納得しました。シンガーソングライター達の個性とカントリーロック、スワンプ、ウッドストック、レッドネック、サザンロック、ケイジャン、テックスメックス等地域に根差した音楽が主流だったのは60年代末から70年代前半までのわずかな期間でした。それでも80年代には”ペイズリー・アンダーグラウンド”シーンからLong RydersやGreen On Redが。90年代は”オルタナ・カントリー”と呼んだUncle TupeloやWhiskey Townが70年代へのオマージュとも思える唄を聴かせてくれました。そしてIsrael Nash。脈々と受け継がれるアメリカン・ルーツ・ミュージックはいつの時代でも途切れる事がないと教えてくれた一枚でもあります。 (2021.2.7)
4月にコロナウイルス感染で大好きなシンガーソングライター、John Prineが亡くなりました。10月に入るとJerry Jeff Walkerの訃報が。