今年はレコードを買い始めて50数年間で最も少なかったようです。Tom Rushの新作とアグネス・チャンのアンソロジーのみなのです。新しいものへの興味が薄らいできたのは今に始まった事ではありませんが過去に入手出来ずあきらめていたものが改めてリリースされてももう手を出さなくなりました。聞き込む自信がないのです。それでは唄との距離が遠のいたのかいえば決してそうではありません。晩酌の肴で唄以上のものはありません。よく聴くのはやはり70年代前半の唄。ここに掲載したライター&ミュージシャンの宇田和弘氏が制作したCD4枚すべての曲の歌詞にコードを附しコード・ダイヤグラム付きの「アコースティック・ギター・デイズ 1&2」。もちろんギターを手に教則本として重宝してましたが、その選曲の素晴らしさから日がな一日流していても飽きません。一つ不思議な点が?それはNeil Youngが一曲も入っていない事です。DylanもCS&Nも入っているのに?何か意味がありそうですが。「Willin」や「Song For The Life」が流れてくるとギターに手を伸ばしてしまいます。

今年も大好きだったアーティストが去って行きました。

年の瀬の迫ったこの時期にとても悲しい訃報が。オレンジカウンティ・ブラザーズの中心人物でヴォーカル&ギターの飯田雄一さんが亡くなりました。テックス・メックス、ケイジャン、ロッキン・カントリーと泥臭くもノリの良いゴキゲンな唄を聴かせてくれました。Doug Sahmの「San Anton」の日本語カバー・バージョンは何度聴いたかわかりません。オレンジカウンティ解散後、飯田雄一さんは音楽関係のお店をやられていたようです。

Melanie(76歳) 1970年頃ゴスペル風のコーラスをバックに力強く唄った「Ray Down」、ポップス全開の「心の扉を開けよう」が日本でもヒットしました。

John David Souther(78歳) Eagles結成前のGren Freyとコンビを組んでたJ・D・Sather。彼の作品「New Kid In Town」や「The Fast One」はRinda RonstadtとEaglesによって大ヒットしました。1979年発表、彼自身の3枚目「You’re Only Lonely」は80年代のAORブームを背景に大ヒットしました。でも私はSSW然りとした1st&2ndが好きです。

Kris Kristofferson(88歳) カントリー系のSSW。俳優としてサム・ペキンパー監督の「コンボイ」Dylanが音楽を担当した「ビリー・ザ・キッド」を主演。SSWとしては何といっても彼の作品「Me&Bobby Mcgee」を1971年にJanis Joplinが取り上げ大ヒット。彼女の人気を決定的に。当時妻だったRita Cooligeとの2作品も魅力的です。

Richard Dickey Betts(80歳) Allman Brothers Bandが実質的なスタートのギタリスト。Duaneの豪快なスライドに対してなめらかで浮遊感のある彼のギターからはカントリー・ミュージックが感じられます。Duane亡き後のアルバム「Brother&Sister’s」では彼の音楽性を前面にだして「Ramblin Man」が大ヒットしました。

Phil Lesh(84歳) Grateful Deadのオリジナル・メンバーでベーシスト。70年代当時のDead周辺にはさほど興味が無かったのですが90年代のネオ・サイケブームの中で遅ればせながらDeadをまとめて手にしその偉大さを実感しました。

Libby Titus(77歳) 彼女の音楽活動についてはほとんど知りませんでしたが私にとって忘れられぬ名曲「Love Has No Pride」をEric Kazと共作してた事でオリジナルを収録したこのアルバムを手にしました。

David Samborn(78歳) ブルース、ジャズ、フュージョン等を奏でるサックス奏者。Paul Butterfield、Better Days、James taylor、Linda Ronstadt、Eagles、Bonnie RaitそしてStones。数々のアーティストの名脇役としても活躍しました。時にはファンキーに時にはエモーショナルに。

 

                                                    (2024/12/10)

最近PCで囲碁を打っています。相手はAI。レベルが選べるのですが私の実力からして初段程度と思われます。驚くべきは布石段階。私が勉強した定石をAIはほとんど打ちません。最初から乱打戦です。勝ったり負けたりですが手数を読む速さには驚きます。まだまだ次のレベルに挑戦できそうもありません。

 

時代は変わる。囲碁も唄も食べ物も世の中変わり続けています。古希を目前にして新たな世界は必要ないと思いながらも「カタカナ語辞典」をパラパラとめくっています。

 

60年前にリリースされたDylanの名曲「時代は変わる」を私が知ったのは50数年前。13曲入りのCDRを作ってみました。もちろん「時代は変わる」のみです。                                                                                                              (2024/7/13)

ようやく届きました。1月に注文したのですがなかなか入荷せず延期、延期となっていました。Tom Rush(83歳)6年ぶりの新作です。収められた14曲。変わらぬ歌声と曲作り。70年代とまったく変わっていません。ジャケットの表情が如実に表している通り60年代初めから60年間以上唄い続けてきて現在が最も充実しているのかも知れません。聞きながら私も花に囲まれ現在の自身を否定することなく生きよう等と。Tom Rushは現在もステージに立ちアコースティック・ギター手に唄っています。

 

2018年の「Voices」を手にし気づいたのですが70年代からの相棒ともいえるカナダ人ギタリストTrevor Veitchの参加がありませんでした。そして今回も。彼はどうしているのでしょう。若手や無名に近いSSWの唄を数多く採り上げ70年代初頭のSSWブームの一端を担ったTom Rush。Muray McloauchlanやDavid Wiffen等素晴らしいカナダのSSWをいち早く紹介してくれたのは相棒Trevor Veitchの影響だったようです。(2024/5/8)

 

今年亡くなったDavid Lindley(78)とJim Gordon(77)については以前書きましたが二人以外にも大好きなミュージシャンが亡くなりました。    (2023/12/11)

Jimmy Buffett(76)、国内ではあまり知られた存在ではなかったような。私は3枚しか持っていませんが本国では数十枚のアルバムを発表しています。1973年のこのアルバムは2ndでこの頃のSSW達の中では珍しく明るいサウンドでのどかさを感じます。基本はカントリーロック。Jerry Jeff Walkerとも知り合いだったようで「Railroad Lady」を共作しています。

 

David Crosby(81)。Byrds,CS&N,CSN&Y, Crosby&Nashに参加後はソロ活動を中心に。私にとってはとても不思議な人です。変則チューニングで織りなすスペーシーな唄。漂い続けるアシッド感。ポピュラリティーやコマーシャリズムからはかけ離れた存在だったような。「Guinnevere」「Wooden Ships」 「Allmost Cut My Hair」等名曲も沢山あります。

Shane Macgowan(65)。The Poguesのヴォーカル&ソングライターでバンドの中心人物でした。私がPoguesを最初に購入したのは3rdアルバムでした。バンド自体の興味よりも古くから好きだったTerry Woodが参加したからです。クレジットを見たらRon Kavanaもいました。これまでのトラッド音楽の解釈とは異なるパンキッシュながらもロカビリーやロッキン・カントリーが溢れるサウンド。時にはアバンギャルドな一面も。後追いで購入した2ndのラスト曲「The Band Played Waltzing Watilda」は豪州の有名伝承曲。ただただ浸りました。

Robby Robertson(80)。The Bandを直接聞くのがしんどい時にこのトリビュートを聴いています。それにしてもThe Band時代のRobby Robertsonは凄かったとしか言いようのないソングライターでありギタリストでした。

 

Randy Meisner(77)。Eaglesのベーシストでヴォーカリスト。名曲「Take It To The Limit」は彼の作品です。これまでのEaglesとは一味違いストリングスを加えRandyのアルト・ヴォイスを盛り上げドラマチックに仕上がっています。しかしこのアルバムを最後にRandyはBernie Leadonと共にEaglesを去りました。この魅力的な曲をアコースティックギター一本でカバーしたDave Masonのバージョンのほうが好きです。

鮎川誠(74)。これぞエレキギターの魅力。カッコイイ!!

Jeff Beck(78)。有名なギタリストですがあまり聴いてなく記憶に残っているのは10代の頃に購入したRod Stewartがヴォーカルの第一期Jeff Beck Groupの1968年作の「Truth」くらいです。ブルース色が濃いこのアルバムの中で最も気に入り夢中になってコピーしたのがアコースティックギター弾き語りのトラッド曲「Greensleeves」でした。そういえばコアなファンからは敬遠された「恋は水色」が話題になったのもこの頃です。当時、ポールモーリア楽団で大ヒットしたこの曲。久し振りに聴いてみたら女性コーラスまで入っていて頬が緩みました。Eric ClaptonもJimmy Page(Led Zepplin)も初来日に出かけましたがJeff beckのライブは見た事がありませんでした。

レコードを持ってたわけではなくとも記憶に残る唄は誰にでもあります。私のそんな唄はほぼラジオからでした。60年代の米国のフォーク・リバイバル、コンテンポラリー・フォークのブーム。ラジオから流れてきたのは「風に吹かれて」「500マイル」「ドナ・ドナ」「パフ」「花は何処へ行った」「ターン・ターン・ターン」他。何とも親しみのある旋律で大切な記憶の1ページ。70年代のSSWブームの中にはフォークソングの路線を唄うアーティストも沢山いました。また時を経て90年代に現れた沢山のアーティストもそんな傾向があり私を喜ばせてくれました。極めつけはSimon&Garfunkelの名曲をタイトルにしたアルバム「Bleecker Street」。2000年頃に出会ったこのアルバムが今年はやたらと気になりました。何がきっかけかはわかりません。たんなるノスタルジア?もう新たなものの受け入れには限界?毎日報道される目をそらしたくなるほどの悲惨な戦争がこれらの唄を呼び戻したのかも知れません。

各人が優れたアルバムを発表しているアーティスト達が一堂に会したのは何かしら60年代のグリニッジ ビレッジに寄せる思いがあったようです。同時期によく聴いたPete Seegerのもとに集ったアルバムは70年代のSSWも参加し豪華な作品。国内盤もリリースされました。Neil Young&Crazy Horseの「Americana」はさらに深く踏み込んでいます。70年代にデビューしたアコースティックギターの名手、吉川忠英さん。彼のいくつかの唄に夢中になりました。彼の事を検索していて見つけたのは2008年作の「Hootenanny」。亡きムッシュかまやつ&加藤和彦さん。他には麻田浩さん、佐野史郎さん。トワ・エ・モアの白鳥恵美子・マイカさん親子等が参加し「風に吹かれて」「花はどこへ行った」パフ」「500マイル」の日本語版が聴けます。また「帰ってきたヨッパライ」も収められています。私のポケットにはまだ少し忘れかけた唄が残っています。来年はどんな唄が出てくるか楽しみです。(2023/12/11)

90年代夢中になったJayhawksの2018年の一曲「Gonna Be A Darkness」に耳を奪われ2ヶ月。80~90年代のアメリカーナが気になり聴き始めると何とも心地良いのです。サイケ・リバイバルとかネオ・サイケと呼ばれたペイズリー・アンダーグラウンドが脚光を浴びた頃にそれらとは一線を画すスタイルで現れたのがLong Rydersです。バンド名は無法者ジェシー・ジェームス物語の映画で音楽担当はRy Coderでした。アルバムジャケットは私も見たことのなかったBuffalo Springfildeの幻のアルバム「Stanpede」を模したものだそうです。サウンドもBuffaloやByrdsを意識したもので何とGene Clarkが参加してます。伝記を執筆するほどのGram Parsonsを敬愛するSid Grifinは後年Coal Portersを結成しGram Parsonsのトリビュート・アルバムを発表しています。ユーチューブで見た近年の再結成ライヴの変わらぬ(風貌は年相応に)サウンドに感激しました。

Green On RedやHooters等を経てJayhawksそしてUncle Tupeloに出会いました。フィドル、マンドリン、バンジョーを前面に出したサウンドは従来のカントリー・ロック程のどかではなくパンキッシュでとげとげしさが残るものでした。メンバー以外にはペダル・スティールのLoyd MainsとヴォーカルでDoug Sahmのベテランが参加しています。オルタナティブ・カントリーと呼ばれたのはこの頃からです。Uncle Tupeloは僅か一枚のアルバムを残して解散。中心人物Jeff TweedyはWilco、Jay FarrarはSon Voltを結成しそれぞれに充実した音楽活動を行ってます。

 

 

ミネアポリスを活動の拠点したJayhawks、UncleTupele、Soul Asylumのメンバーによる覆面バンドGolden Smogも2枚の素晴らしいアルバムを残しています。

また同時期のバンドで忘れられないのがスコットランドのPrimal Scream。94年に米国で御大Tom dowdのプロデュースで制作した「Give Out But Don't Give Up」はマストアイテムです。 (2023/4/22) 

米国のドラマー、Jim Gordonさんが3月13日亡くなりました。享年77歳。同年代で同時期に活躍し現役のJim Keltnerとともに忘れられぬドラマーでした。40年前、彼が38歳の時に精神的な病から悲惨な事件を起こし逮捕されて以来の彼についての便りは精神科の獄中からの訃報でした。ご冥福を。

Traffic「The low Spark Of High Heeled Boys」1971
Traffic「The low Spark Of High Heeled Boys」1971

彼の活動で最も有名なのはEric Claptonを中心に結成されたDerek And The Dominosのドラマーだったことかもしれません。バンド活動としてはTrafficにも参加しています。それでも活動の中心はスタジオ・ミュージシャンとしてでした。検索したら彼がドラマー及び管楽器奏者等として参加したリストがありました。100人を超えるアーティスト達のうち私の手元にあるものをアップしてみました。  (2023/4/22)

Tina Turner(83)さんが亡くなりました。彼女の全盛期と言えばソロ活動が開花した80、90年代でしょうか。私はさほど興味がなくほとんど聴いていません。私が好きなTinaと言ったらIke&Tina Turner。71年の「What You Hear Is What You Get-Live At Carnegie Hall」。素晴らしいアルバムです。ソウルの名曲に加えStonesのカバー「Honky Tonk Women」、当時そのアレンジが話題になりヒットしたCCRのカバー「Proud Mary」。そして大好きなカメラマンNorman Seeffが担当した素晴らしいジャケットは確か音楽雑誌ニュー・ミュージック・マガジンの年間ジャケット大賞でした。久し振りに聴き返し的を得たIkeのギター、ソウルフルにシャウトするTina、二人のコール&レスポンス的な掛け合いヴォーカルは見事です。この頃私はJanisやJoe Cockerも大好きでこの名盤を買う余裕はありませんでした。(2023/5/30)