開いててよかった長棟林道                                                                    2019/6/16

桧峠に着くと目を疑う光景が。林道入り口の頑丈なゲートが開いていたのです。いつもはここで自転車に乗り換えるのですが。「どうしようか?」「もしも帰りに閉まっていたら出れなくなるかも」「平日だし工事業者が通るはず」「何とかなるでしょう」「自転車でのキツさを回避できたら最高」という事でこのまま車で進入。何年振りだろうか。一抹の不安を抱えながらも20分ほどで奥山発電所の入り口に到着。さすがにここのゲートは硬く閉じられていました。ここからは30分歩いて溪へ降りる杉林へ。

 

32年前初めて長棟川へ入渓した時は桧峠から徒歩でした。何回か繰り返すうちに自転車に、そして念願の合鍵を入手し数年間は車で行く事が出来たのです。しかし転勤で異動しているうちに鍵は変えられ自転車に逆戻り。そういえば奥山にはゲートはありませんでした。数年の間に釣りや山菜採りで命を落とす人が続いた為に設置されたようです。パトカーが見回った時期もありました。岐阜県側のルートである茂住峠のゲートも2,3人で持ち上げれば開けられたものから現在の頑丈なものに変えられています。そういえば尊敬する偉大なる上司、渡辺裕之さんと朝5時頃、桧峠に着くとけん引ロープをゲートに巻き付けパジェロで引っ張り壊そうとしている輩に出くわしました。私達の姿を見てさすがにあきらめ去って行きました。そして彼らが遠ざかるのを確認後におもむろにポケットから合鍵を取り出したのです。

 

そして今回はもう一つの出来事がありました。こちらは決してラッキーどころでは無かったのです。遡上を初めてまもなく高橋さんが前方にクマを目撃、クマは直ぐさま藪の中へ。安保ちゃんも木々が揺れるのを確認。私は少し離れて居て気づきませんでした。数年前に私が単独で来てクマを目撃し撤退したのはこの少し先でした。どうもこの付近にクマの棲家があるようです。今回は3人(何人いてもクマにはかなわないのですが)で相談し独り身で存在価値がもっとも低くまた一番先の短い私を先頭に大声を出しながら通過。怖かった。

長岡の我が家を3:00ちょうどに出発し富山ICを出てコンビニに着いたのが5:00。朝食&昼食を購入し桧峠~奥山発電所~薬谷正面の杉林~急降下~長棟川に6:30到着。やはり自転車ではなく車は楽で時間も短縮できました。ただ林道からの急降下時やたら倒木が多くくぐったり跨いだりでだいぶ時間をロス。目のいい高橋さんは木に居座るガマガエルを発見。大池谷で足元の岩にいるのを度々目にしたのですが木の上は初めてです。降り立ってすぐに気になったのは水量です。昨年よりも1週間早いのですがやや多そうでした。先ずは朝食。そして降り注ぐ朝の光の中をいざ出陣。私と高橋さんは餌のミミズで安保ちゃんはルアー。予想通りにまったくアタリなし。少し先で私はミミズを諦め川虫採り。思ったよりも川虫は小さめでした。30分ほどすると安保ちゃんのルアーにヒットし始め一安心。そしてクマの出没場所を過ぎたところで高橋さんがミミズで良型をゲット。次いで私も川虫でゲット。小物に惑わされていた安保ちゃんのルアーにも良型が。

クマ騒動から開放され心に余裕ができたからでしょう。しかし油断は禁物。なにせ私達はクマの生息域にお邪魔しているのです。その後高橋さんもミミズを諦めルアーに持ち替え。思いのほか水は冷たくなく順調に川虫を採取出来たのがラッキーでした。二人のルアーマンの存在が頼もしく私が数を重ねる必要がないと思うと気楽に楽しませてもらいました。11:30に昼食。

気力と体力ともに不安が募る中こうして今年も長棟行きを決行できたのはほかならぬ安保ちゃん、高橋さんのおかげです。イワナの骸骨を含む新作メニューやイワナ寿司も感激でした。私を長棟へ連れて行ってくれて本当にありがとう。

先ずは乾杯そして直前に安保ちゃんがゲットした良型の刺身は一年振りぶりの感激。驚く程の甘さ。3人共イワナとの駆け引きを満喫。私はバラしたものも含めいつもになく強烈な引きに堪能しました。0.8の太いラインとはいえ通しで結んだ針が切られるのではとハラハラした場面も幾度か。後半は何よりも足元に注意。

次々と二人が釣り上げる中、私もようやくと言うよりもたまたま尺物ゲット。そして驚くは通らず手前の好ポイントでのイワナ達。上から覗いている大物がゆらゆら。二人が交互にルアーを投げ込むもののイワナ達は完全に無視。私も川虫を入れてみたが見向きもしませんでした。予定通りいつもの場所にて納竿。長棟川に感謝。急登に備え脚に自信がなくなって来た私はは靴を履き替え60肩の痛みをこらえつつ懸垂で一歩づつ先へ。さすがにもう一気に登りきる事は出来ず。最後の竹やぶをかき分けると長棟林道。

一息ついた後はひたすら林道歩き。ここで頭をよぎるのは桧峠のゲート。果して開いているだろうか?工事業者は来るだろうか?期待していた後方ではなく前方から車がやって来ました。車は停車しおじさんが窓を開け「釣れたかい?」「ええ、まあ、でも食いが浅かったです。ところで桧峠のゲートは空いてましたか?鍵が無いんで」「大丈夫、開いてるよ」と言い残し富山ナンバーのおじさんは去って行きました。おじさんは何をしに来たんだろう?もう15:00を過ぎているし。それはともかく一安心。昼食休憩した場所を覗き込み、ササユリ、モリアオガエルの卵やフキノトウもどきを見ながら1時間半歩いて奥山の車に到着。

開いてて良かった桧峠のゲートを通過し、いつものテン場に着いたのが16:30。テントを張り宴会場にシートを広げてとりあえず乾杯。その後私と高橋さんは焚き木を集めて火起こしと塩焼きの準備を。安保料理長は定番の刺身とムニエル(油炒め)の他に新作、イワナの皮の唐揚げ、骨煎餅の準備。19:00には料理を前に大宴会の始まりとなりました。シメは感激の岩魚のにぎり。テントでの二次会を経て就寝。

夜半には心配していた雨が降りだし焚き火を見ると塩焼きのイワナは既に片してあり、もうひと眠りし5:00起床。雨は止む気配が無い為、撤収を開始し永遠に未開通道路の貂飛(てんとび)トンネルに避難し新作メニュー「イワナの骸骨汁」での朝食。これも美味でした。

今年も立山町の温泉「夢ごこち」でのんびりした後は魚津市のスーパーで「昆布〆」&「チャンポンメン」を購入し37年目の「ラーメンの店」へ。開店前に着いて3人並んで待つ予定だったのですが私のボケから通り過ごしてしまい着いた時には開店済み。変わらぬ笑顔のお二人。昨年、聞き逃した開業は昭和51年2月15日(釈迦の命日?)だそうです。すると今年で創業43年。私が初めて食べる6年前だったのです。来年も必ず伺います。

    今年もありがとう長棟川