晴れのち豪雨の片貝川 2020/9/7

「我が心は踊る 虹の空にかかるを 見る時」我が家に飾られた唯一の書です。富山県朝日町出身、魚津高校で教鞭をとられた後に上京された有名な書家、大平山濤氏が書かれたものです。書とは縁もゆかりもない私ですが、片貝川の流れる魚津市に勤務していた40年近く前、職場で書をたしなむ上司に勧められ購入したものです。新たな美術館建設のためのチャリティー販売だったような。表装を含めて80,000円くらいでした。
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書かれた内容は購入者の希望に沿ったもので私は自然を表すものをお願いした結果この作品になりました。そしてこの作品に表現された世界に私は先日遭遇する事ができ感激しました。その場所が私の渓流釣りの原点ともいえる魚津市の片貝川だったというのは出来すぎのような気がします。青空の中スタートだったのですが午後は雷雨に見舞われ片貝山荘に緊急避難。小降りになった夕方、河原のテン場に辿り着き今宵の準備をあらかた終え一息つき空を見上げたら対岸の山の彼方に思いもよらぬ光景が出現したのです。
昨年に引き続き9月の片貝川釣行は6月の長棟川に劣らぬ思い出深い釣行でした。3時に長岡を出発し魚津ICを出てコンビニへ(コーヒーを買い忘れた)立ち寄り僧ヶ岳登山口の駐車場に6時過ぎ到着。平日ながら熊谷ナンバーの大型ワゴン車が一台駐車中。僧ヶ岳か毛勝山への登山者であればよいのだが釣りの可能性も。それでも前進のみ。1時間弱歩き目的の最後の取水地着。適度な水量に顔がほころんだのもつかの間で昨年、高橋さんが尺オーバーをゲットしたポイントは治山工事で跡形もなく消えていました。トホホ。最後の堰堤の先が本日のメイン。ゴーロ部で大岩と闘いながら三階棚滝を目指しました。下って午後は好ポイントのみをチョイ釣りの予定が豪雨となってしまいました。そして私は完敗。川虫がいないこの時期の餌釣りは難しいですが続けようと思います。

片貝川は下流から順に別又谷、南又谷、阿部木谷(毛勝)、北又谷、東又谷(ひのまただん)と沢山の大きな支流があります。今回の目的は東又谷を遡上し三階棚滝までの区間でした。過去に踏破したかどうか定かではありません。ここは駒ケ岳や毛勝への登山ルートとなっています。登山ルートとはいえ沢のみで道は一切ありません。釣り開始から治山工事により好ポイントが消えてしまうというトラブルに見舞われながらも最後の堰堤を超えていざ入渓。やはり数人の踏み跡が。熊谷ナンバーか。登山ルートでもあることから足跡は必然と納得し釣りを開始しました。最初のポイントで良型がヒットしたものの残念ながら。そしてその後は数年振りに使ったイクラ、ブドウ虫を振り込んでも全くアタリがありませんでした。不思議に思ったのはこの炎天下の中ミミズにはわずかな反応がありました。これでは安保ちゃんのルアーに頼るしかありません。想像以上のゴーロ状態と急登の連続。岩が大き過ぎてクリアーするのに恐怖感を覚え何度も転倒し穂先を折ってしまいました。何とか修繕し進むと滝倉谷の出合い。そしてようやく三階棚滝へ。やはり以前来たような気がしました。ここで納竿。登りの緊張感からすると下りは困難が極まると覚悟し体のバランスを保っている安保ちゃんの足を頼りに慎重に降下開始。怖いながらも水の美しさに感激しながら予想外にすんなりと下山できました。
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11時過ぎに冷たいビールと大好きなトロロ昆布おにぎりで昼食。安保ちゃんは堰堤下へ行き見事ゲット。私は餌を諦めテンカラ竿を出してみたもののヒットせず。そうこうするうちに予報通りポツポツ雨が。林道に戻りまだ熟していない山ブドウや遅くまで綺麗咲いている岳アジサイを見ているとどしゃ降り。まるでスコールのような大粒の雨が地面を叩きつけるように。遠くで雷も。山肌に身を寄せて立往生。やや弱まったのを見て堰堤下のポイントへ。雨後はミミズで爆釣、刺身の大盛りがと振り込むも捕らぬ狸の皮算用。やはり安保ちゃんのルアー頼みでした。雨で水量が増し活性化した岩魚がジャンプする姿が見えました。安保ちゃんが良型をゲットしここで納竿。雨は再び強まり川は濁流化。ひたすら僧ヶ岳登山口へ向かって歩くのみ。車に戻ったものの豪雨。熊谷ナンバーは停車中、何処へ行ったんだろう。毛勝登山?この豪雨で大変な筈。まだ3時前。テン場に行っても車からは出られそうもなく近くの片貝山荘へ緊急避難し着替えを済ませ一時待機。4時過ぎに小降りとなりテン場へ移動。ビニールシートで屋根を確保しテントを張り私は夕まずめの爆釣を目指したものの雨後の増水で徒渉出来ず断念。翌朝は3本釣れました。感激の虹に出会い美味しいビールにお酒そして念願の岩魚料理をいただきました。しかし蚊の襲撃に会い翌朝私の両方のまぶたは腫れあがっていました。帰りの車中ずっと冷やし続けたのですが腫れがひたのは翌日でした。そういえば6月の長棟釣行ではウルシにかぶれ完治まで3日かかったのです。
これで今年の釣行は終わりました。今年も3月から数回出かける事ができ満足のシーズンとなりました。安保ちゃん、高橋さんありがとうございました。帰りの車中で話題になった植野稔さん。私が渓流釣りを始めた頃の憧れの食漁師。帰宅後ネットで確認したら現在75歳。職業は山仙人だそうです。そこまでは無理ですがもう少し頑張ります。
以前から気にかかっていた上市町眼目(さっか)にある眼目山(がんもくさん)立山寺(りゅうせんじ)の参道のとが(栂)並木を歩いてきました。素晴らしい参道でしたが本堂はやや近代的な作りで私好みではありませんでした。
38年目の「ラーメンの店」に今年もおじゃましました。誰もいないうちにと10分前に行き開店と同時にご主人に案内され入店。再会の喜びをかみしめ沢山のお話を聞きながら、おいしいラーメンと熱いスープ付きの冷やし中華をいただき来年も来ますと伝えるとお二人が外に出て見送ってくれました。ご主人78歳。まだまだ続けて下さいね。